種子は新鮮なほうが発芽する?

“種子は新鮮なほうがよく発芽する”と思われている方も多いのではないでしょうか?たしかに種子寿命が短いものも中には存在しますが、実際のところはそうともいえないのです。

植物の中には、むしろ新鮮すぎると休眠が深く発芽しない、その植物の発芽適期にならないと発芽しない、更には播種してもポツポツと少しずつしか発芽せず、全て発芽するころには数年かかるようなものがたくさんあります。

ハマミズナ科の植物(メセン類)は種子の鮮度や気温に敏感なものが多い印象で、種子を蒔いた1年後にようやくポツポツと発芽し始めたり…。メセン類は全体的に種子寿命が長く、20年前に採取した種子が普通に発芽したという話も聞いたことがあります。
サボテンのPterocactusやTephrocactusなども発芽が非常に気まぐれで、1粒は蒔いてからある程度すぐに発芽してもその他は数年後に突然発芽したり…なんてことも。
特殊な例ではまず冬の凍結を経験しないと休眠から覚めず、その後春に暖かくなってくると発芽するようなものもあり、AustrocactusやMaihueniaなどが該当します。
特にポツポツと発芽する性質をもつのは、おそらく一度に発芽したものの環境が悪く全滅してしまった、という事態を回避するための生存戦略だと思われます。

上記はほんの一部で、これ意外にも“発芽が気まぐれ”な植物は非常に多く、そしてこの“種子の休眠の深さ”は属どころか種(しゅ)レベルで大きく異なるのも特徴。
1ついえるのは“播種直後に種子にカビが生えたりしなければ長い時を経てでも発芽する”ということです。種子を蒔いてすぐ発芽しないからといって鉢を捨ててしまわないようお気をつけください。